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中央アジア・カザフスタンの草原は寒暖の差が激しく一年を通しての最高気温は50℃、最低気温-20℃の厳しい環境で生きている生物「サイガ」
長くて丸っこい鼻が特徴のサイガはウシ科の動物で食料は新鮮な草でそれを求めて一日に100キロ以上も移動します。
氷河期以降、絶滅したケナガマンモスやサーベルタイガーを尻目にサイガは中央アジアを中心に爆発的に繁殖し多くの個体がユーラシア大陸で暮らしていたとされます。
サイガの鼻の役目
サイガの大きな特徴である鼻はそのユニークな見た目とは裏腹に多機能で重要な役割を持っています。動物の鼻というと犬のような多くの匂いを嗅ぎ分けることに特化していると考えがちですがサイガの鼻は別の機能が備わっています。
過酷な気温から守る役目
多くのサイガが住むカザフスタンは寒暖の差が激しく厳しい環境です。-20℃の空気をそのまま肺に入れてしまっては体内の組織は無事ではすみません。また、気温が低いということは水分をほとんど含んでいないということで乾燥した空気も体に悪影響を及ぼします。
サイガの鼻は表明積が大きく空気を効率的に温め、鼻のしめり気によって空気を潤します。
空気清浄機のような役目
サイガが生息する地域では砂嵐が頻発します。砂を含んだ空気をそのまま肺に入れることは極めて危険です。人間の鼻にも微細なゴミや有害な微生物を除去する機能がありますが、砂嵐のように空気中に含まれる不純物の数が多いと力不足です。一方サイガの鼻は人間のものと比べられないくらい大きいのでたとえ砂嵐の中でも十分な量の呼吸が可能になっています。
また、サイガの最高移動速度は80キロという猛スピードで走るためサイガ自身が砂を舞い起こしがら走るのでその際にもしっかりと呼吸ができます。
仲間とのコミュニケーションの役目
サイガの求愛活動はオスがその鼻から発せられる唸り声によって行われます。大きな唸り声は自身の体の大きさをアピールするためにモノです。オス同士がメスを争うときはまず唸り声で相手を威嚇してそれでも決着がつかない場合はオスが持つ長い角で勝負します。
サイガが絶滅しそうな要因
一度の繁殖で平均2頭以上の子供を生むサイガは繁殖能力が高いことでも有名です。しかし、近年個体数が激減して2002年に国際自然保護連合(IUCN)という機関によって絶滅寸前の種として登録されています。なぜ、繁殖能力が高いはずのサイガが絶滅尊前の状態になっているのでしょうか?
乱獲により激減した個体数
氷河期のときマンモスやサーベルタイガーが次々と姿を消した中、サイガの肉は貴重なタンパク源でした。多くのサイガが人類によって狩られていきますがその時点ではまだまだ絶滅の危機とはいえない状態です。状況が変わったのは20世紀の旧ソ連の崩壊です。
経済的な混乱が起きたソ連では食糧不足が深刻化し人々は狩猟が簡単なサイガに目をつけました。氷河期時代とは異なり銃火器が台頭している近代ではいかに高速で走れるサイガでもひとたまりもありませんでした。
もう一つサイガの乱獲が加速した大きな要因がサイガのオスに生えているツノです。中国ではサイガのツノは羚羊角(レイヨウカク)といわれる漢方薬として解熱作用・鎮静作用があるとされ珍重されています。サイガのツノ1グラムあたり数千円の売値がつき、密猟者たちは我先にとサイガのツノを目当てに密漁を続けています。現在では、警備隊が取締を強化しているおかげで密漁数は減少していますがそれでもなくならないのが現状です。
謎の大量死
2015年、カザフスタンに生息しているサイガの約40%が死亡しているとのニュースが入ってきました。イギリスの獣医師チームがこの大量死の原因を調査していましたがはっきりとした原因はわからず、パスツレラとよばれるバクテリアが原因ではないかと言われています。パスツレラが起こすパスツレラ症は細菌性の疾患で通常であれば感染しても無害ですが、免疫が弱っているときに感染すると死に至る病と言われています。
大量死した季節がちょうどサイガの出産後ということもあり体力が奪われたときに発症したのではないかとも言われています。
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