バイオレンスジャックはデビルマンの続編なのか?非日常を漫画で味わう!

バイオレンスジャックとは

バイオレンスジャックは「デビルマン」「マジンガーZ」を生み出した永井豪先生による漫画であるが、タイトル通りほとんどのページでバイオレンス(暴力)な描写が描かれていて、余り永井先生の作品になじみがなかった人には刺激が強いと感じる。

物語は関東が未曽有の災害(地獄地震)により日本から完全に隔絶され無法地帯となった中で善と悪それぞれの勢力の戦争を描いたものである。

この漫画の世界観として似ているのは「北斗の拳」であろうか。暴力が支配する世界、混沌とした世界観はどちらにも当てはまる。ただ物語の主人公であるジャックは素性が定かではなく己の肉体と一本のナイフを武器に暴力が支配する関東で暴れまわる。ジャックの目的は作中ではほとんど明かされずただジャックが現れる先には戦争が起こると人々から疫病神のように忌み嫌われているような存在でもある。

デビルマンの続編なのか?

バイオレンスジャック
本作は他の永井豪作品と関連が深い。「マジンガーZ」や「キューティハニー」「ハレンチ学園」のキャラなどがそれぞれの作品のパラレルワールドのように登場してくる。

代表作である「デビルマン」も例にもれずそれどころか実際バイオレンスジャックがデビルマンの続編のような描かれ方をしている。

だけども僕はバイオレンスジャックがデビルマンの続編だと思っていない。
いや思いたくないといったほうが正しい。
デビルマンは僕の心に残る名作でデビルマンは全五巻で完結していると思っている。

バイオレンスジャックはそれ単体では非常に面白い作品であるが、デビルマンの続編としてみるとバイオレンスジャックは話が長すぎて蛇足に見えて仕方ない。

だからバイオレンスジャックはデビルマンの続編ではなくパラレルワールドだと思っている。

バイオレンスジャックの面白さとは?

バイオレンスジャックにも北斗の拳のラオウのように絶対的な悪役が存在している。
それが
スラムキング
という人物である。
スラムキング

スラムキングは身長2m以上の巨漢で生来の異常な筋肉の発達によって常に身に着けている鋼鉄の鎧兜を脱ぐと筋肉が自分自身の体を破壊してしまうという規格外の強者である。

しかし、スラムキングはこのバイオレンスジャックにおいて主役といっても差し支えのないキャラクターだ。スラムキングは強大な軍事力を持ち自身も絶大な腕力を持つ。己の欲望に純粋で欲しいものは必ず手に入れ目障りなもの、歯向かうものはとことん虐殺しないといけない性分の持ち主である。

スラムキングは間違いなく悪である。悪であるがどこか悲しみを含んだ悪である。
その悲しみを思わせる一つが彼の生い立ちである。異常な筋肉を持つ彼は生まれた瞬間から強者であった。

彼は生まれた瞬間に母を殺してしまった。出産に際に母親のお腹を突き破り誕生したのだ。もちろん彼は母を殺そうとなどみじんも考えていなかっただろう。
このことから自分の祖父から娘を殺された憎悪と異常な筋力を恐れられ少年期・青年期を屋敷の中にある蔵に鎖でつながれながら送ることになった。

その監禁中のスラムキングに一筋の光明が照らされる。一人の女性の家庭教師が彼を人間に戻すよう積極的にスラムキングに命のはかなさ人間のもろさを教え込んでいき徐々に人間としての感情・道徳心を得ていくある事件が起きスラムキングの心は完全に負の感情で満たされることとなる。

このバイオレンスジャックという漫画は万人にお勧めできる作品ではない
なぜなら描写があまりにも凄惨でグロテスクなものがほとんどだからだ。
しかしこの漫画の真髄は「極限状態の人間の心理描写」にあると思っている。
これは物語が進むほど色濃く出てくる、だから最初の一話や二話で投げ出さずに読み進めてほしい。圧倒的な暴力と極限状態の人間を体感してもらいたい。

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